【校長室】第32回 卒業証書授与式にて

吉備高原学園高等学校のウェブページKIbi Log【校長室】をご覧いだきありがとうございます。

しばらく【校長室】ブログ更新できなくて、もう3月になってしまいました。学校の状況は、広報室その他からのお知らせで、十分にわかっていただいていると思います。

先日の第32回卒業証書授与式では、卒業証書授与と式辞を述べさせていただきました。今回の式辞には、私が個人的に尊敬する加計 勉 加計学園名誉理事長のことをお話させていただきました。自分で言うのもなんですが、よかったなぁと感じています。私のPCの前には、加計先生の大きな写真があり、原稿の作成で行き詰った時、写真の加計先生がふと目に入り、それからどんどん進んでいきました。
少し長いですが、式辞の原稿を記載します。
**************************************************
式辞
弥生三月、春の訪れを感じる季節、92名の卒業生が巣立ちの日を迎えました。本日、この晴れの日に、多くの来賓の皆様、ご家族の皆様、そして在校生が共に集い、第三十二回卒業証書授与式が挙行されますことを、心より嬉しく思います。
卒業生の皆さん、本当におめでとうございます。
三年前、皆さんはそれぞれの思いを胸に、親元を離れ、寮生活を始めました。不安と期待が入り混じる中での新生活だったことでしょう。寂しさに涙を流した夜もあったかもしれません。しかし、全寮制の環境で共に学び、励まし合いながら乗り越えてきた日々は、皆さんにとってかけがえのない財産となったはずです。
マハトマ・ガンジーはこう言いました。
「あなたが、この世界に望む変化に、あなた自身がなりなさい。」
皆さんも、この学校生活の中で自分と向き合い、悩み、時には孤独を感じながらも、新たな一歩を踏み出してきました。その積み重ねが、皆さん自身の成長へとつながり、「変化」の一部となったのです。
本校では、学業だけでなく、人間関係や自己との向き合い方、社会で生きる力を身につけることを大切にしてきました。その過程で得た自信と強さは、これからの人生の大きな支えとなるでしょう。
これから先、思いがけない困難に直面することもあるかもしれません。しかし、そんな時こそ、この学校で培った力を思い出してください。仲間と支え合うことの大切さ、自分自身を信じる力、困難を乗り越える勇気。それらは、皆さんの未来を照らす光となるはずです。
ご家族・ご関係者の皆様、誕生の日から早18年、お子様がこの日を迎えられたことに、感慨もひとしおのことと存じます。本日卒業を迎えた皆さんは、先般の民法改正により、法律上も成年として社会に旅立ちます。大人として求められるものは多々ありますが、特に重要なのは「自ら考え、判断し、責任を持つこと」ではないでしょうか。お子様は立派に成長されました。その成長と門出を、心よりお祝い申し上げます。
さて、卒業生の皆さんに、これからの人生を生き抜くための言葉を贈ります。
それは、「プライドではなく、誇りを持って生きる」ということです。どちらも辞書では同じ意味として載っていて、日本語と英語の違いだと思われがちですが、少しニュアンスが違います。
「プライド」とは、他者との比較から生まれる優越感です。スポーツや競争の場では、それが励みとなることもあります。しかし、「プライド」を保ち続けるには、常に他者と競い続けなければなりません。
一方で、「誇り」は自分自身の努力の積み重ねから生まれるものです。他人との比較ではなく、自分がどれだけ努力し、成長したかを実感することで生まれます。
マイケル・ジョーダンは、こう言いました。
「私は勝つことが大好きだ。しかし、それ以上に、自分がどれだけ努力してきたか、自分の限界をどれだけ超えてきたかに誇りを感じる。」
ジョーダンは、単なる天才ではなく、尋常ではない努力を積み重ねた選手でした。彼は高校時代、一度バスケットボール部のレギュラーメンバーから外されたことがあります。しかし、彼はそこで諦めず、毎朝早く起きてシュート練習を続けました。大学時代も、プロに入ってからも、彼は常に自分の限界を押し広げることに情熱を注ぎました。
彼はまた、「失敗を恐れるな。私はキャリアの中で9000本以上のシュートを外し、300回以上試合に負けた。そして、ウィニングショットを任されながらも26回外した。それでも私は挑戦し続けたからこそ、成功を手にすることができたのだ。」とも語っています。
ジョーダンの「誇り」は、単なる勝利ではなく、その過程にありました。彼は他者と競うのではなく、自らの努力に誇りを持ち、常に最高の自分を目指し続けたのです。
皆さんも、これからの人生で、自分の努力を誇れるような生き方をしてください。他者と比較するのではなく、自分がどれだけ成長したかに目を向け、自らの限界を押し広げる挑戦を続けてください。その積み重ねが、皆さんの誇りとなり、未来を切り開く力となるはずです。
ここで、曲を聞いてください。
これはEXILEの「道」という曲の一部ですが、この3年間の思い出を胸に、皆さんはそれぞれの「道」を歩み始めます。道にはさまざまな形があり、それは夢へと続く道であり、困難に立ち向かう道でもあります。時には険しく先が見えないこともあるでしょうが、その道を歩むことで、皆さんはより強く成長していくのです。この曲は、そんな人生の歩みを象徴しています。
本校の設立と運営に深くかかわり、初代学園長の加計 勉 加計学園名誉理事長も、「道」という言葉を残しています。彼は「道とは、自ら切り開き、歩み続けるものだ」と語り、自らも教育の道を切り開くとともに、生徒たちに挑戦し続ける大切さを説きました。
人生の道は、決して誰かが用意してくれるものではありません。皆さんも、この先どんな道を歩むとしても、自分自身でその道を切り開き、進んでいってほしいと思います。この学校で培った友情や努力、そして乗り越えた困難が、皆さんのこれからの人生を支えてくれることでしょう。
卒業は終わりではなく、新たな道の始まりです。この瞬間を大切にし、それぞれの夢に向かって一歩ずつ進んでください。
最後に、もう一度お伝えします。
「プライドではなく、誇りを持って生きる」
第32回卒業証書授与式にあたり、3年間過ごした、この吉備の家庭から巣立っていく、私の1年先輩の卒業生の皆さんの、誇りある未来を心より祝福し、式辞といたします。