【校長室】令和6年度 ごあいさつ

吉備高原学園高等学校のウェブページKIbi Log【校長室】をご覧いだきありがとうございます。

昨年度より引き続き校長を務めさせていただいております難波 徹洋(なんば てつひろ)でございます。遅くなりましたが、年度替わりに当たり、ごあいさつを申しあげます。
吉備高原学園高等学校は、平成3年に創設され、今年度で創立34年目を迎えます。岡山県が施設整備を行い、岡山県と民間で構成する学校法人が運営する全国初の公私協力方式の普通科高等学校であります。
本校の建学の理念は『全寮制による全人教育とコース制による個性尊重の教育』で、『全寮制』という制度により、一つ屋根の下で一つ釜の飯を食べることで、他人のことや自分自身のことを冷静に、人と関わることの大切さを学ぶことができます。本校教育の根幹となる寮生活は、規則正しい生活習慣を身につける絶好の機会です。身につけた生活習慣は、一生の宝になります。
またもう一つの特色は専門コースです。普通科の高校でこの様な専門コースがある事は大変珍しいと思います。この学校の創立にあたり、昭和50年、当時の長野岡山県知事による吉備高原都市構想の中で、「さまざまな能力や資質を持ちながら、既存の学校教育に馴染みにくい若者を、将来社会で活躍できる人材育成をする学校」の設立の構想がありました。その際、教室での座学の授業だけでなく、各人が興味関心のある事や、打ち込める内容を授業に取りれて、「個性尊重の教育」をする為に専門のコースを持つ事になりました。
さて令和6年度は、14の都県から55名の新入生がここ吉備高原に集まり、休学式後、毎日の寮生活に加えて、避難訓練、国立吉備青少年自然の家でのカレー作りと、もう新しい友達と触れ合う行事がありました。
今後とも、本校の伝統と特色ある教育実践を継承しつつ、更なる発展に向けて生徒・教職員一同全力で取り組んでまいりますので、ご家族の皆様、地域の皆さま方、同窓生等の皆さま方には、なお一層のご理解とご支援をお願い申しあげます。
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4月8日  新任式・始業式でのあいさつの概要
新しい先生方・事務の方をお迎えし、そして、みなさんが1年進級して、吉備高原学園高等学校の2024年度が始まりました。2・3年生のみなさん、あらためて進級おめでとうございます。2年生のみなさんは私と同じ、本校2年目に入ります。11日から後輩を迎え、修学旅行などの学校行事を楽しみながら、吉備高原学園高等学校の中核となる取り組みを期待します。そして,3年生のみなさん、高校生活最後の1年が始まります。進路決定に向けて、いよいよカウントダウンが始まりました。
また、民法が改正され、成人年齢が18歳に引き下げられ2年目となりました。今年の誕生日が来ると、クレジットカードや携帯電話、ローンの契約などが自分の意思により結ぶことができるようになります。皆さんも自分自身を守るためにいろんな手法で正しい知識をしっかり身につけましょう。
「壊れ窓理論」
アメリカの最大の都市ニューヨーク市は、凶悪犯罪が多発する治安の悪い都市でした。殺人や強盗事件が頻繁に発生し、日本人観光客も、まちを歩く時は緊張感を強いられたものでした。
そのニューヨークを預かった、ルドルフ・ジュリアーニ前市長は,市長当時、実にユニークな対策を推進しました。それは、まちの落書きを、徹底的になくすこと。凶悪犯罪ではなく、落書きの掃除と取り締まりに、精力を注いだのでした。市街地や地下鉄の落書きを徹底的に消し、落書き犯には厳しく罰則を科すと,不思議なことに、凶悪犯罪も減少。殺人事件は3分の1に、発砲事件は4分の1に、 犯罪件数全体でも6割もの減少が見られました。こうしてニューヨークのまちは、落書きが消えて美しくなると同時に、治安はぐんと向上し、観光客も安心してまちの中を歩けるようになりました。
問題点は、小さいからといって放置しないこと。逆にそういう小さい問題を徹底的に解決することが、大きな問題の解決に結びつく、ということです。担任の先生方に頭髪や服装,アクセサリーなどの指導を受けて,「細かいことにうるさいなあ」と思ったことはあるでしょう。
しかし,先ほどの話にあったように,小さいことを放置することで,もっと深刻な問題が発生し,君たちの将来をもぶち壊すようなことになるかもしれないのです。まじめにしている人にも多大な迷惑をかけます。誰も得をしません。 先生方もそれをわかって,細かいことを注意されるのです。窓の修復に協力してください。いや幸い,本校はみなさんと先生方の努力で,かつてのニューヨークにはなっていませんので。この先、窓を壊さないでください。
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4月11日 入学式での式辞の概要
≪前略≫
ただ、これから親元を離れての寮生活は、いろいろ不安や心配もあると思います。寂しかったり、辛かったり、泣きたい時もあるでしょう。しかし皆さんは、自分自身の為に一歩を踏み出し、頑張ろうと全国から同じ目的を持って、この吉備高原に集まりました。さあ、どの人にとっても、これからが始まりです。力強く歩みだしましょう。
さて、みなさん。これからの人生の成功を決めるものは何だと思いますか。みなさんの夢を実現させるものは何だと思いますか? 抜群の運動神経の良さでしょうか、持って生まれた知能指数の高さでしょうか?
iPhoneで有名なアメリカアップル社の創業者のスティーブジョブズ。みなさんも名前を聞いたことがあるかもしれません。彼はこれまで、コンピューターの常識を覆す製品を次々に開発・発表し、世界を変えた男といわれています。彼には類まれな知能指数があったのでしょうか?
実は、彼の高校の成績は平均的なものでした。しかも、大学も一年で中退しています。
バスケットボールの神様といわれたマイケルージョーダン。NBAの試合で、バスケットボールのスーパープレーを連発していた彼も、高校二年生のときは自分かいた高校の代表メンバーにすら選ばれず、泣きながら家に帰ったというエピソードがあります。では、スティーブージョブズ、マイケル・ジョーダンはどのようにして世界的な成功者となったのか。彼らには「GRIT」があったからです。
「GRIT」とは何か。「GRIT」を日本語に訳せば、「やり梭く力」です。スポーツや科学や経済などあらゆる分野で成功者となっている人物を研究した結果、彼らには共通してこの「やり抜く力」があるということがわかってきたのです。「やり抜く力」とは、目標に向かって一直線に進み、最後までやり遂げる情然と忍耐です。また、それは、最悪な状況下でも、強い覚悟を持って戦い抜く強靭さでもあります。
「やり抜く力」のいいところは、生まれつき持っているものでなく、これからでも獲得できる点です。ですから、今まで、三日坊主だなと思ってきた人でも、今日からこの力を強くしていくことができます。
さらに朗報なのは、何かを全力で成し遂げ、一旦「やり梭く力」を持つと、他の新しい物事の習得にもその力が発揮されや苦すくなります。
部活動のしい練習をやり抜いてきた人は、同時に学校の成績も高いという現象。私はよく見てきました。「やり抜く力」が他の知識や能力の獲得にも影響を与えているいい例です。逆にいうと、一つもやり抜いたことのない人は、これからどんなこともやり抜くことはできません。「やり梭く力」を獲得してこそ、みなさんの夢の実現や人生の成功は保障されます。
「やり拔く力」。でも、どうやって、粘り強く練習したり、挫折せずに課題を継続することができるようになるのでしょうか。
1.まず好きなことから始めること
2.計画的で高みを目指寸練習をすること
3.やがて苦しくなくなる瞬間が来ることを知ること
この三つを心掛けて、ここにいる全員が「やり抜く力」を獲得していってほしいと願っています。
最後になりましたが、ご家族の皆様、お子様たちが新しい学校で自分の道を見つめ、自分の足で歩き始めようとする今この時を大切にしたいと強く思います。教職員も皆、同じ気持ちでこの時を迎えています。
2022年4月の法改正で、三年後の卒業時には成人となり、様々なことに自らの責任が問われることに直面するようになります。選挙権のみならず、新成人としての責任を問われる、そんな大きな時代のうねりの中で、一人で人生を歩いていかねばならない人たちです。自分で考えるべきところは自分で考えさせ、するべきことはさせ、一つ一つ、大人への成長を願い、適宜、適切に、過干渉にならずに支えていただきたいと思います。
お子様が困難を経験することを避けてはいけません。波風から守るのではなく、波風にさらされること、失敗を恐れずに進むこと。波風の体験の中から、自分を含めて人の弱さを知り、人を愛することを覚え、そして逆に逞しさを獲得していくものです。本校の教育や寮生活も、この精神に立っています。
ご家族の皆様と学校と、二人三脚で進みたいと思います。お子様の様子に心配なことがあれば、遠慮なく担任にご相談いただければと思います。
入学式

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4月20日 新入生歓迎会
≪前略≫
さて、英国には、パブリックスクールとよばれる、全寮制の男子私立学校があり、イートン校、ハロー校、ラグビー校などが有名であり、起源は14世紀にさかのぼり、リーダーとなるべき立派な紳士の養成を目的とし、多くの生徒がケンブリッジ、オクスフォードなど名門大学に入学するそうです。最近は女子も入学できるパブリックスクールもでき、日本にも日本校ができるようになり、人気もあるようです。
「いわゆる一つ屋根の下で一つ釜の飯を食うことが、教育上、人間修行の上にどんなに意味深いものであるかを知っている。多数の人々と一つ釜の飯を食ってみると、他人もわかり自分自身もわかり、ひとづきあいというものがわかってくるはずである。」
日本でも戦前の旧制高等学校は全寮制であり、学生同士の切磋琢磨し、人格を高め、教養を深めることにより素晴らしい青春時代を過ごし、多くのりっぱな人が育っていきました。
寮生活は、社会で必要な規則正しい生活習慣を確立する絶好のチャンスです。身に付いた生活習慣は、一生の宝となります。本校の33年の寮の良き伝統をしっかり引き継いで、寮生の仲間と共に、規則を守り、充実した寮生活を送って下さい。
新型コロナ感染症のために、昨年度までは、体育館で昼間の時間に行っていましたが、新型コロナも扱いが変わり、今年度から寮行事として、ここ寮の食堂で夜の時間に行うことができるようになりました。
この歓迎会は、先輩達が1年生の皆さんへ、「頑張れよ」とこの日の為に練習を積んで、準備してくれました。新入生は、その気持ちを理解し、しっかりと受け止めてあげてください