【校長室】令和5年度 入学式を終えて

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【校長室ブログ】校長式辞

 

 

 

 

 

吉備高原学園高等学校へきて、初めての入学式
モーニングを着たのも初めて!
式辞を読むのも初めて‼

どうにか終わってホッとしています。以下は、当日の式辞の内容です。「校歌」のことに触れましたが、式の最後に2・3年生と教職員で「校歌紹介」をしてくれ、ほんとにいい校歌だと感じました。

令和5年度入学式  式辞

明るい空気に満ちあふれ、あらゆる生き物の息吹が感じられ、この吉備高原の、毎年の桜も、いつのまにか見ごろを過ぎた季節となりました。
朝晩の肌寒さも少しずつやわらぎ、一雨ごとに、春の暖かさが増していく、この佳き日に、令和5年度、吉備高原学園高等学校第33回入学式を挙行できますことは、誠に喜ばしい限りでございます。厚くお礼を申しあげます。
ただいま入学を許可いたしました88名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。
また、本日までお子様を、いつくしみ、共に歩んでこられました、ご家族の皆様方にも心からお祝い申しあげます。

この3年以上にわたる、新型コロナウィルス感染症の流行により、通常とは違う環境で、つらい日々を過ごされた方もおられることでしょう。苦難を乗り越えて本校への入学の日を、迎えられたことに対し、改めて心より敬意を表します。同時に、皆さんを支えてこられたご家族をはじめ、先生や周囲方々への感謝の気持ちを、忘れないでいただきたいと思います。
新型コロナウィルス感染の第8波は、少しずつ終息の兆しを見せ、国の感染対策も、この5月を機に大きく変わろうとしています。今回の入学式は、来賓のご招待を除き、ほぼコロナ前の形式で行うこととし、マスク着用も個人の判断にお任せすることにしました。ようやく皆さんの輝かしい、希望に満ち溢れた笑顔を拝見しながら、入学式を挙行し、ご家族の方々と共にお祝いできることを、大変うれしく思っている次第です。

本校はご承知のように、地元自治体をはじめ、地域や民間の協力を得て、岡山県が施設整備を行い、岡山県と民間とで構成する学校法人が運営する、全国初の『公私協力方式』の普通科高等学校として創立されました。本校の建学の理念は『全寮制による全人教育とコース制による個性尊重教育』により、『自主・創造・友情』の精神を養い『豊かでたくましく くじけない心』の育成を目指しています。
また、全寮制の本校では生徒と先生が寝食を共にし、互いに教え合い学び合い、共に協調して成長していく『教学相長』の場であり、これは吉備高原学園高等学校の心得として、本校での教育への思いが込められております。

これから親元を離れての寮生活は、いろいろ不安や心配もあると思います。寂しかったり、辛かったり、泣きたい時もあるでしょう。しかし皆さんは、自分自身の為に一歩を踏み出し、頑張ろと全国から同じ目的を持って、この吉備高原に集まりました。
皆さんは無限の可能性を持っています。その可能性を伸ばすも伸ばさないのも自分自身です。さあ、どの人にとっても、これからが始まりです。力強く歩みだしましょう。

さて、式次第では最後に「校歌紹介」が予定されています。
私も新入生の皆さんと同じ、この学校では一年生ですので、先輩の先生から、校歌について教えてもらいました。開校以来、今日まで32年間、歌い継がれてきた校歌は、現在の岡山県赤磐市出身の詩人 永瀬 清子(ながせ きよこ)先生が作詞、これまた岡山県岡山市出身で、作・編曲分野の第一線で活動され、映画、テレビ、ミュージカル、CM作品からオペラ、交響詩まで、幅広いジャンルの作品がある小六 禮次郎(ころく れいじろう)先生が作曲されたということです。

当時、小六氏は、TVの音楽、CMやドラマや映画の音楽、コンサートの音楽をいつ寝たのかわからないような状態でお仕事をされていたそうです。そんな小六氏に、本校の校歌の依頼が来たとき、「さて、どうしたものか」と座りなおし、日常とは違う、いつもと違う依頼が来たと思われました。音楽に優劣や隔てはなく、作曲依頼には違いないと思いながらも、CM音楽や放送音楽などは、すぐ消えてしまうものも多い感覚に対して、「校歌」は否応なく「何年も歌い続けてもらえる曲でなければならない」と考え、座りなおして、依頼を受けることを決心されました。

一方、作詞の永瀬氏は、新しい教育理念と素晴らしい構想が掲げられた学校の校歌の作詞に取り組まれ、苦心の作を小六氏に見せた時、小六氏は、「今の少年たちは古典的な言葉でものを考えてはいないので、彼らが詩として感動できるものが欲しいのです」とダメ出しを食らったそうです。
少しがっかりされたそうですが、「あなたの一番いい詩を書いてくださいよ。僕は僕の一番いい作曲をして生徒さんが喜んで歌えるようにしましょう」と励まされ、半年間悩んだ末の新しい作品を見せると、小六氏も大変喜び、肩の荷が下りたということです。本日の資料にも掲載され、ステージ右手に掲げられている歌詞には「人の出会いのすばらしさ、若き日の夢、そして若い人がやらなければならない何か」が書かれています。新型コロナウィルス感染症も収束してきたので、これからの学校行事では、たびたび歌う機会が増えてくると思います。そのたびに思い出していただければと思います。

終わりになりましたが、ご家族の皆様、お子様たちが新しい学校で自分の道を見つめ、自分の足で歩き始めようとする姿に感動を覚えていることと思います。今まさに、この時を大切にしたいと強く思います。教職員も皆、同じ気持ちでこの時を迎えています。
2022年4月の法改正で、3年後の卒業時には成人となり、様々なことに自らの責任が問われることに直面するようになります。選挙権のみならず、新成人としての責任を問われる、そんな大きな時代のうねりの中で、一人で人生を歩いていかねばならない人たちです。自分で考えるべきところは自分で考えさせ、するべきことはさせ、一つ一つ、大人への成長を願い、適宜、適切に、過干渉にならずに支えていただきたいと思います。

高校生活、寮生活では、体も心も大きく育つ時期です。子どもは「育てる」ではなく、「『育つ』を見守る、手伝う」に変えていきましょう。そこで、お子さんが困難を経験することを避けてはいけません。波風から守るのではなく、波風にさらされること、失敗を恐れずに進むこと。波風の体験の中から、自分を含めて人の弱さを知り、人を愛することを覚え、そして逆に逞しさを獲得していくのです。
本校の教育や様々なプログラムも、この精神に立っています。ご家族の皆様と学校と、二人三脚で進みたいと思います。お子様の生活や学校での様子に心配なことがあれば、遠慮なく担任にご相談いただければと思います。本校教育へのご理解とご協力の程をお願い申しあげ、本日のお祝いの言葉とさせていただきます。

令和5年4月11日

学校法人 吉備高原学園
吉備高原学園高等学校 校長 難波 徹洋